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服を着替えるのは、とても日常的な当たり前の行為ですね。でも、介護をするにあたって、衣生活の意味を考え直すことは、お年寄りの立場に立つためにも大切なことです。

●清潔と心のために衣服をあらためる
服を着る、ということには、一般的にどのような意味があるのでしょうか。
・体を暑さ寒さといった環境の変化から守る。
・着替えることで清潔を保つ。
・その人の容姿や気分に合ったものを着ることで、気持ちが華やぐ。
おおまかに見て、こんなポイントが上げられます。これは、介護が必要なお年寄りにもあてはまる事柄です。体の一部がまひしている状態であれば、自分で着替えることがリハビリにもなります。
体が思うように動かせない人ならなおさら、毎日の衣類には気をつかってあげたいですね。

●どんなふうに選べばいいの?
《素材》
吸湿性や肌触りでいうと、やはりコットンやウールといった天然素材がよいのですが、こうした素材は「しわになりやすい」「洗うと乾きにくい」「縮みやすい」といった欠点もあります。さまざまな要素を考慮して、混紡を選んでもいいですね、
着脱のしやすさを考えると、伸縮性のある生地のものが便利です。
おしゃれ着については、デザイン上で脱ぎ着がしやすければどんなものでもよいでしょう。

《デザイン》
まず、脱ぎ着がしやすいことがたいせつです。寝たきりなのか、片まひがあるのか、リウマチなのかなど、身体の条件によってできる動作が違いますから、それに応じた素材、大きさ、デザインであることが必要です。



まひなどがあり、体が動きにくい状態では、一人でも介助があっても、着脱にはひと苦労しますね。でも、ちょっとした工夫があれば、毎日の着替えがぐっとスムーズになります。
まひのある方の着脱のキーポイントは、着るときはよくない方の側(まひ側)から、脱ぐときはよい方の側(健側)から。

●ひとりで着る場合
・片まひの着衣(かぶる服)
 1.まひ側の腕に袖を通す。
 2.健側の袖に腕を入れる。
 3.頭を通す。
・片まひの脱衣(かぶる服)
 1.健側の腕を抜く。
 2.頭を抜く。
 3.まひ側の腕を抜く。
  
・片まひの着衣(前開きの服)
 1.まひ側の腕を通す。
 2.後ろから身ごろを回し、健側の腕を通す。
 3.留め具を留める。
・片まひの脱衣(前開きの服)
 1.留め具をはずす。
 2.健側の腕を抜く。
 3.健側の手で、残りをいっきに引き抜く。
  
・ズボン
 1.まひ側の足を健側の脚に乗せて組む。
 2.まひ側からズボンに入れる。
 3.健側の足を入れて立ち、上まで上げる。
 4.留め具があれば留める。  
   
●介助する場合
着替えをするときには声をかけて、柵につかまったりしてもらえば、体が安定します。 
・寝た状態(前開きの服)
マヒのある方の寝まきの着せ替え
寝巻きの着せ替え 寝巻きの着せ替え2
1)マヒのない側の肩から手をいれ、ひじまで手をすべらせて袖を脱がせる。 2)脱いだ側の手に新しい寝まきの袖を通し、肩まで引き上げる。
寝巻きの着せ替え3 寝巻きの着せ替え4
3)からだを横向きにして、汚れた寝まきをからだの下に入れる。 4)汚れた寝まきを手前に引っ張り出し、清潔な寝まきをからだの下に深く差し込む。
寝巻きの着せ替え5
5)からだを仰向けの状態に戻し、汚れた寝まきを取り出す。清潔な寝まきを手前に引き、ひじを曲げさせて袖を通す。

 
・寝た状態(かぶる服)
 1.衣類の身ごろをたくしあげて、ひじなどを内側から支えながら袖を抜きます。
 2.両腕を抜いたら、えりを広げて頭から抜きます。
 3.着せるときは逆に、えりを広げて頭を通し、片方ずつ袖に通します。 
 ※袖を通したり頭からかぶせたりするときに衣類を伸ばすので、伸縮性にとんだ素材のものを選びます。

●パジャマ、洋服選びのポイント
本人が着る場合も、介助する場合も、多少ゆったりめのデザイン、サイズの方がラクです。また、ボタンよりは面ファスナー、平織りの生地よりはフライスなど伸縮性のある生地、ウエストはゴムやひも、といったものがよいようです。
脱ぎ着がラクであることはたいへん重要な条件ですが、一方、お年寄りが、必要でないときにいつの間にか衣類を脱いでしまうこともあります。お年寄りの状態によっては、本人が勝手に脱いでしまうことのできないデザインが必要なこともあります。
また、寒い時期には靴下もはきますが、床やたたみで滑る心配があるので、すべり止めのついたものを選びましょう。
 
●その人に合ったリフォームを
面ファスナーづかいの衣類など、介助を要する人向けの衣類も出てきましたが、価格が高めになっています。普通の衣類やパジャマでも、必要な介護がしやすいようにリフォームしてもいいですね。
一般の人には難しいリフォームや、手直し個所が多いと、専門家に依頼することになります。場合によっては、最初からオーダーするほうが安くなることもあります。介護のことをよく知らない縫製の人もいますから、どのような障害があって、どのように介護しなければならないといったことを相談し、価格も確認します。
手間もお金もかかることですが、工夫一つで、お手伝いがしやすくなり、お年寄り本人にも負担をかけずにすむようになります。結果的に作ってよかったということになれば、それが一番ですね。
リフォームのポイント例にはこのようなものがあります。
・ボタンの代わりに、面ファスナーを使う。
・袖口をボタン付からゴムづかいにする。
・袖の縫い目をほどいてマチをつけ、ゆったりさせる。
・片手で脱ぎ着できるように、脇にループをつける。
・トイレで便利なように、股割れのズボンや肌着にする。
・前が大きく開くモンペタイプのズボン。
 
●小道具を使ってスムーズに
体、特に手先の自由が利かないと、ボタンを留めたり、ファスナーを上げたりという行為はかなり骨が折れます。
こうしたときに役立つのが、自助具です。ボタンにはボタンエイド、ファスナーにはファスナーエイドというものがあります。
また、靴下を履くときにつま先を広げ、足を入れて引っ張ればよいという自助具もあります。
こうしたところで小さな道具を使ってもらい、どうしてもできない部分で介助すれば、お年寄りも自信を持ちながらスムーズに生活することができそうですね。

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