●排泄のお世話
「下の世話にはなりたくない、トイレだけは這ってでも自分で行きたい」これは誰もが願っていることです。介護者がたとえ身内であっても、排泄の世話をしてもらうことは、本人にとっては辛く、人間としての尊厳を奪われたような気持ちになるものです。排泄に対しては、お年寄りの気持ちを言動に気をつけ優しい心遣いで接していきましょう。
[トイレまで連れていけるとき]
●なるべくトイレで排泄を
動作が不自由になったお年寄りの排泄行為は、使いやすいトイレにかえたり、トイレと居室との距離を短くする工夫をすることで自立が維持できます。なるべくトイレで自力で排泄できるよう、トイレまでの通路の段差をなくし、手すりをつけたり、脳卒中や心臓発作に備えて、トイレ内を暖める工夫をしてあげてください。
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[トイレまで連れていけないとき]
●ポータブルトイレを使う
トイレまでの移動ができなくても、座ることはできるというお年寄りにはポータブルトイレが適しています。また、夜間などトイレまで行くのに不安がある場合にも用います。
ベッドサイドに手すりをつけ、ベッドのそばに置いておくと便利ですが、お年寄りが気にする場合は、部屋の隅におきカーテンなどで隠します。用便の後は、窓を開けて換気し、芳香剤などで消臭します。
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| いろいろなポータブルトイレ |
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| 差し込み便器 和式便器 |
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洋式便器 |
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家具調トイレ |
| 小型で持ち運びがしやすく、差し込みやすい |
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大型で用量が大きく腰掛けても使える |
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大型で用量が大きく椅子としても使える |
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[起き上がれないとき]
●気軽に排泄できるよう導く
起きてトイレに行けなくなっても、尿意や便意があるうちは、尿便器を使います。ベッドの上でからだを起こせる時は起きた姿勢で排泄させます。寝た姿勢で用便するのは、お年寄りにとってもつらいこと。気兼ねなくできるように手際よくお世話しましょう。
●尿器を使う場合の介助
尿器には男性用と女性用があります。自分であてられる場合は、プラスチック製のほうが軽くて扱いやすくなっています。お年寄りは一気に尿が出ないので時間がかかりますが、せかしてはいけません。我慢強く待ちましょう。
男性の場合はどのような体位でも、比較的簡単に介助できます。起き上がれる場合は自分で操作してもらいます。一人でできない場合は介護者が手伝って尿器をあてます。
女性の場合は尿道口が下を向いているため、尿器が密着しにくく尿を器の中にきちんと入れるのは難しいものです。起き上がれる場合はいいのですが、寝たまま排泄する場合、介護者はお尻の割れ目にテイッシュをあてて、尿器の中に尿を導きます。 |
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| いろいろな尿器 |
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| 標準型男性用、女性用 |
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安楽尿器(びんに蓄尿できるので、1回ごとに始末しなくてすむ) |
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自動採尿器(センサーが尿を感知して自動吸引する) |
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●便器を使う場合の介助
お年寄りに腰を少し上げてもらい、便器の中央が肛門の下にくるように差し込みます。まったく腰が上げられない場合は、横向きに寝返りをうってもらい、便器の中央が肛門にくるようにおき、ゆっくりあお向けにします。便器が安定したら、男性には尿器をあて、女性は尿が飛ばないように陰部に縦長に折ったテイッシュをあてます。
●排尿・排便を促す刺激
寝たままで尿が出にくい場合は、水の流れる音を聞かせる、下腹部を押さえる、陰部に温かいおしぼりをあてるなどの刺激を与えると尿が出やすくなります。また、便の出にくい時は、お年寄りのお腹をマッサージしてあげると効果があります。
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[おもらしをしてしまうとき]
●尿意があるかぎり排尿自立の訓練を
排泄の調節ができず、尿や便がもれてしまう状態が失禁(おもらし)です。失禁が始まるとお年寄りのショックは大きく「人生もここまで」と絶望し、うつ状態に陥ることもあります。そして、尿失禁は治らないと本人も周囲の人も諦めがちですが、尿意があるかぎり、諦めずに自分で排尿できるよう根気強く取り組むことが大切です。
●生活の工夫
失禁は環境を変えただけで治った例もあります。訓練で改善したり、おもらし用パッド使用で外出もできます。寝たきりに場合は腰部を中心に防水シーツを敷いておきます。失禁はたいしたことではないと認識して、上手につきあう努力をすることが大切です。
●おむつは最後の手段
便意・尿意が戻らない場合には、おむつに頼らざるを得ません。しかし、失禁=おむつと考えがちですが、おむつは最後の手段と考えるようにします。誰でもおむつをすることに対しては抵抗感があり恥ずかしいと感じるものです。お年寄りが遠慮しないですむような雰囲気づくりを心がけてください。
●おむつの選び方とあて方
おむつには布製と紙製がありますが、現在使われているのはほとんどが紙おむつです。紙おむつは衛生的で品質も向上し、手間がかかりません。おむつは上手にあてていないと、尿がもれたり、からだが動きにくくなります。股ぐり、お腹、腰をフィットさせ、もれを防ぎます。紙おむつと失禁パッドを組み合わせて使うとぬらす心配がありません。
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| 紙おむつと失禁パッドの組み合わせ |
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| 1)失禁パッドは、男性は中央をへこませ、女性は中央を山にします |
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2)平型を重ねる |
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3)T型を重ねる(男性は広い部分をおむつの前側に、女性は広い部分を後ろ側に) |
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| おむつの取り替え方 |
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横向きにしておむつをはずす |
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陰部やお尻を蒸しタオルできれいに拭く |
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古いカバーを丸めて追い込み、縦に丸めた新しいおむつを腰の下に差し込む |
あお向けにして古いおむつカバーをはずし、新しいおむつを広げ、股間に合わせて装着する |
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[便秘への対応]
●規則正しい生活と便秘予防
便秘が続くとお腹が張る、食欲がないという症状が現れます。特に痔のある人は悪化しやすいので、日ごろから便秘の予防を心がけることが大切です。水分を十分にとり、散歩など適度な運動を行えば腸の動きは活発になります。食物繊維の多い食べ物も摂りましょう。そして、毎日、決まった時間に規則的な排便を習慣づけるようにします。
●頑固な便秘は摘便や浣腸で
3日間くらい便通がない場合は摘便や浣腸を行いすっきりさせてあげましょう。摘便は指先を肛門に入れて便を取り出す方法で、体力のないお年寄りには浣腸より安全です。家庭で浣腸する場合は簡易浣腸(イチジク浣腸など)が手軽でお勧めです。 |